オリーブとオリーブオイル

オリーブ・木の一年

 月 木や実の様子 注
 1月 芽の活動休息中・もしくはスローモーション土壌に肥料やり
(注1)
1月後半から剪定開始(注2)、2月まで。
遅くても、3月までには必ず終える
 2月 花芽分化 木への栄養を与える時期、
窒素を欠かしてはいけない
再生期:2月末に始まり大体20~25日間
活動期:3月中旬、大体18~23日間
木がつぼみをつける時期
全ての花は雌雄同体、おしべとめしべをもっている
昔からこの植物の難しさは、開花、受粉、結実とされる
開花期:5月~6月にかけて
(トスカーナは6月)
結実期:実の形成、花が実になる割合は約3%
 3月
 4月窒素が必要な時期
(注3)
 5月
 6月
 7月 実の成長 水が必要な時期
 8月 実にオイルを含み始める
 9月 成熟期
 10月 成熟期:終盤間際にオイルにする
 11月 実の収穫と搾油
 12月

(注1)
1月~2月にかけて、肥料は、リンを150kg/ha, カリウム250kg/ha 
(注2)
オリーブの剪定 毎年、必要分だけ(少しだけ)剪定する。木、葉、全体に光と空気を入れるように。
根や枝から出る若芽、若枝を取り除く
(注3)
窒素やりに関しては、1年目は50g/ha, 2年目は100g/ha, 3年目は150/ha, 4年目は 250/ha
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☆オリーブの根
根の深さは、土質と気候による
根が深いー砂質、暑く、乾燥した気候(最高は深さ約6m、横幅は約12m)
土の表面が粘土質で湿度がある気候(深さは60~80cm)


収穫からオイルになるまで

★収穫時期の昔と今
昔は、質よりも量の時代、秋の農作業(麦などの種まき)終了後の収穫。
完熟を待ってから、搾油を行なっていました、完熟を待つことは、オイルの量が増えることであり、農家の収入が増えること
搾ったオイルは、どんなものでもおいしいと思われていた頃、量産された酸化したオイルの味を本来のオイルと信じ込み、それがオリーブオイルだと思っているお年寄りは今でも少なくないです、その当時の、搾油所は、年が明けても搾油を行なっていました
現在は、トスカーナでは10月20日を過ぎると収穫は始まります、青々しいフレッシュ感いっぱいのトスカーナのオイルに、早めの収穫は必須、年によっても違いますが、11月中旬には、搾油を終える生産者も少なくない、オイルに関しての認識が変わった今、クリスマス前には搾油所はほとんど稼動を停止させ、品質のよい酸度の低いオイル搾油を心がけています

★収穫
次の3種類の方法があります
①手摘み ②小型器械使用 ③機械摘み
トスカーナは、①もしくは②で行なわれます
プーリアに多く見られる平地と違い、トスカーナは段々畑が多く、畑に細かい高低差があり、大型機械の移動が不可能、そして酸度が低い完熟前のオリーブを早摘みするためには、完熟落下前人が枝から取り外す作業が必要になります

完熟したオリーブの実は、木を揺らしただけで実が落下。
実が枝から離れるということは、すでにその時点から酸化が始まるということ。
昔は落下したオリーブも搾油に回していましたが、(いまでもありますが・・)
上質のオリーブオイルを目指している生産者は落下したオリーブは使いません。

収穫手摘みの労働は、価格の高騰を招くため、最近では、モーターつきのハンディタイプ小型器械を使用し、収穫。
器械使用は、実を傷つけることから、酸化の面を考慮して、搾油から収穫までできるだけ早く行うなど、配慮されています


★貯蔵

オリーブ収穫後はできるだけ、早い搾油を求められますが、家族の仕事の都合で、1週間分の収穫をまとめて搾油という場合もあります。(自家用目的のオリーブオイルによくあり)その場合は、保存が重要。通気性の悪い袋には入れず、左の写真のような丈夫な通気性のよいケースがよいとされます。(オリーブは枝から外された後も呼吸をして生きており、二酸化炭素と熱を排出します。)このときの保存が悪いと、オリーブが発酵したり、カビが生えてしまい、オイルになったときの味も香りも台無し、せっかくの栄養価が下がってしまいます。可能ならば、実に負担がかからないようケースにはたくさん詰め込まず、涼しい場所(10-15度)で保管
最近は、質のよいオイルを求めて、収穫後、12時間以内~24時間以内に搾油という生産者も増えてきました


★洗浄

搾油所に運ばれた後のオリーブは、計量後、ラインに乗り、洗浄に入ります。収穫の際に入り込んだ葉や枝は、オイルの風味に影響しますのでしっかり、取り除かれます(葉っぱは、色と苦味を出すといってあったほうがいいんだというひともいます)大体の今の搾油所は振動する洗浄タンクの中をオリーブが通過した後、次の段階へ進みながら、筒の中のジェット水流で洗浄されるという2度洗いです。
排気ガスもない空気がきれいだった中世時代には、この工程(洗浄)は、ありませんでした。


★粗砕(そさい) オリーブの実を潰すこと
2つ方法あります

「伝統的圧搾法」によるプレス・粉砕機(臼で挽く)
昔から行われているやり方
石臼をまわして(今は電動、昔は動物)、
石臼の重みでオリーブを潰します
一度に300-500kgのオリーブを潰すことができ、1分間の間に12-15回石臼が回転
回す時間は、いろいろ(各搾油所の方針次第)で、大体15-45分
ペースト状になる
文化を知る上では、貴重な存在

「遠心分離機の連続法」によるハンマー 
現代的な搾油所で行われる粗砕法
洗浄されたオリーブは小さな心臓部に入っていきます、
ここでオリーブは砕かれます
刃に負担がかからない(熱を持たない)回転数、内部温度、どの程度まで種の部分を粉砕するか、搾油所の判断で行われます

砕くこの工程、無酸素状態がより新しい方法。
昔の石臼式は、酸素に触れながら潰されています


★撹拌(かくはん)
 種ごと砕かれたオリーブは、ペースト状になって、撹拌用タンクに移動。
ペーストを練ることの目的は、
オイルを抽出しやすくすること。
このタンク内部に熱線がはってあり、温度調節が可能
成分を壊さないようにかけられる熱は、通常25~28℃
27度までで行われると、ラベルに低温搾りと表示できます
練られる時間は、25-40分
温度が低く、練る時間が短いことは、オイルの抽出量が少なくなりますが風味はより高くなります


左の2枚の写真は、
パジェッティ搾油所の撹拌用タンク
中は真空状態、一度にひとタンクあたり800kgまで練ることが可能
かける温度、練る時間はオリーブを持ち込んだ生産者が決めることができ、画面に表示されます

伝統的な圧搾法は、この工程において熱をかける設備がない場合が多い


★抽出
遠心分離機にかかった後、即座に抽出されるオリーブオイル


「伝統的圧搾法」による圧搾抽出
ペーストを円盤状の生地に乗せ、上から圧力をかけ、液体(オイルと植物水)を絞り出す、後に遠心分離機で水とオイルを分離、もしくは液体をタンクに入れ数日放置、軽いオイルは上に浮き、水が下に沈む(古代法)