10月に入りました。トスカーナ(アレッツォ周辺)のオリーブは順調です
この辺では、10月中旬になるとオリーブオイルの搾油所が稼働を始めます
搾油所では、この辺のオリーブの生育具合が遅いとなると、より暖かい南イタリアからオリーブを運んでとりあえず機械を動かし始めることもあり、その搾油所の規模や方針によっていろいろです。
ちょっとトスカーナでの数字を・・・
1本のオリーブの木から平均でどれぐらいのオリーブの実が取れる?
>>>>平均で15kg位です。
1本のオリーブの木を手摘み収穫するのは時間はどれぐらいかかる?
>>>>3~4人でやって40分~1時間
1本のオリーブの木(15kgのオリーブの実)から、どの位のオイルが取れますか?
>>>>天候、収穫時期に寄りますが、トスカーナでは大体10%から16%
14%だと良い搾油率という話になります
13%と仮定すると、、約2kgのオイルになります
※ちなみにオイルは、1L=914g(920gの場合もあり)で計算され機械で容器充填します、
写真はパジェッティ搾油所のINOXのストックタンクの一部
HL=100L(リットル)ですので、左から、2万L、1万L、9百Lタンクです
こちらはやはりパジェッティ搾油所のオリーブの実を粉砕した後、低温をかけて
真空状態で練る装置、8台(桶とします)×800kgで、最大6400kgまで同時進行可能です
例えば。。。自分のオリーブの実を搾油所へ持ち込みオイルにしてもらうとして。。。
このひとつの桶一杯(800kg)にするためには、約53本のオリーブの木が収穫が必要です
13%の抽出率として、104Kgのオイルしか取れません。
上の写真、右の一番小さなオイル保存用タンク900L(=828kg)をいっぱいにするにはなんと424本のオリーブの木が必要です
★保存(ストック)タンクのこと
搾油所の場合、ストックタンクの中のオイルは流動的です
↓この抽出機でオイルが抽出され(オイルと水、果肉、種を分離)、
こんな感じで「初しぼり」が出てきます。
「搾油所のストックタンクの中のオイルは流動的」の意味ですが、搾油所はストックと同時に、オイルを買いに来る人が常に出入りしオイルは売れていきます、
900Lのストックタンク1杯になる前にどんどんオイルは出ていき、不足分が継ぎ足されて行きます。繁忙時期、第一タンクがいっぱいになると、2番目のタンクにストックが始まります
流動的なことに、どうして注目しなくてはいけないのか?というところですが。。
オリーブオイルには果肉片(澱)が残ることがあります、これを取り除くには
①沈殿させ、何度かデカンテーション(容器入れ替え)をする
②精度の高い(栄養分は残して澱だけを完全に除く)ミクロフィルターに通す
どちらかです、①には時間がかかりますので、10月中のオイル入手は困難です
(デカンテーションには最低で2週間はかかります)
②は搾油所に初しぼりを求めに来るお客さん向けに、
行うことはなく1年通年を通して品質変化を絶対望まない生産者が使います
(フィルターは結構高価ですのでオイルにはその分の値段が乗ります)
澱が長期間、オイルの中で沈殿していますと劣化の元になりますので、長期で使用と考える場合は澱を抜いたオイルが無難と言えます。
保存タンクをいっぱいにするのがどの位大変か?ということで、オリーブの木の本数や、収穫にかかる時間なども参考に書いてみました(意味なかったら、すみません。。)、
初しぼりには初しぼりの良さがあります、澱を完全に除くオイルにはオイルの良さがあります、なにを求めるか?いつ欲しいか?何処に価値を持つか?。。。造る人、買う人それぞれです。
2017年の10月のパジェッティの初搾りには澱が出ませんでした、私は一年経った今もノンフィルターのそのオイルを食べていますが、澱もなければ、味の劣化も全然ありません、おととしのパジェッティの初しぼりにはとろみのある澱が出ました(ご指摘ありがとうございました)、それは、ノンフィルター故のこと。。
流動しているストックタンクの中での澱の沈殿具合、充填のタイミング、天候、オリーブの状態。。。いろいろ考えられました。
ってことで、一昨年、パジェッティのエディ(経営者)に発生した澱のことを話して、言われたことは、ストックタンクをひとつ丸ごと買ってくれたら、沈殿させて、澱の問題は出ないようにするわよ!!とのこと。あちゃ~~。
コメント
ここまで 詳しい説明を読んだのは 初めてです。原稿、時間がかかったでしょうに
ありがとうございます。オリーブオイルの瓶のラベルを読んでみると tasting notesには
balanced taste-green with hints of almond, and peppery finish found in fresh
olive fruit。味見をしてみると 確かに。いつも 買って、使うだけだったのですが、
味見をして 選ぶ基準を覚えようかと思いました。選び方、どこに価値を持つか、なるほどです。
ところで、量り売りの店で 買う場合、古い瓶を持って行くとして 瓶は 煮沸で洗って持って行くべきでしょうか、洗わないとすると、何年か前に買った時の瓶を保存してあるのですが、中が酸化していないかと考えたのです。
なんでもそうですけど、 用途によって オリーブオイル、その他のオイルと性質を知って使うと 料理も楽しいし、経済的に 美味しいものを食べられるかなと 嬉しい情報でした!
コメントが長くなってすみませんが、
今日 お店では Roma tomatoの売れ残りがあっただけでした。その代わり、いつもは見なかった里芋がありました!ここ数日 短い秋の爽やかな天候ですが あっという間に晩秋に移りゆきます。自然災害が 地球規模で 起きていることが ここでも ひしひしと感じます。みなさん
美味しいものを食べて 風邪をひきませんように。
むべさん
オリーブ瓶のラベル表示報告ありがとうございました、面白いです。
お~~、噂には聞いていましたが、オリーブオイルの量り売りがやはり存在するんですね。
イタリアはワインはありますが、オリーブオイルはありません。
混合回避のためです。例えば、生産者や販売者が儲け増しのため、ひまわり油と混合させるとか。。
去年のオリーブオイルを精製して無味無臭にして今年と混ぜるとか。。いろんな悪だくみは考えられるので。。
この辺はイタリアは厳しくて、成分検査で(抜き打ち)で判ってしまいます
よく世話のされた最高のオイルになってきますと、瓶の蓋が絶対に外れないタイプになってきて
使い終わっても、外からの継ぎ足しは不可能、この手の蓋は値が張りますが価値を守る手段としては欠かせません。
瓶を洗う方法ですが、苛性ソーダを使うとは言われますが、私は熱湯で洗います、そして、ほんとは洗剤を使わないようにと言われますが私は薄めた台所洗剤を使って瓶掃除ブラシでゴシゴシ洗って、熱いお湯で何回もすすいで、水気を切って入れています(農家から5Lとかの瓶で買うこともあるので小分けの際。。)
トマトが終わって、里芋、いいですね、里芋があって。こっちでは見たことないです。こちらではcavolo cinese(中国キャベツ・白菜)が出始めました、早速買って生姜を入れた浅漬けを作りました。
充実のレポート、ありがとうございます。大変勉強になります。
ワインの澱も、気にする人は、かなり嫌がりますね。
私は変わっているのか、澱があると、ガッツポーズで喜びます。
リンゴジュースも濁ったタイプが好きです。
オリーブオイルの澱、出来たり出来なかったりって、興味深いですね。
澱があっても、安心で美味しいオイルを紹介してくれるUTAKOさんを信じて、
そんなに気にせずに使う、ただ、開封したら、日の当たらない場所に保管して、
どんどん使ってしまうのが、良さそうですね。
本来、オリーブオイルには、澱があって当然なのかも知れません。
だって、澱ーブ。。ゴホゴホッ、あ、台風はですね、
窓ガラスが割れてしまうのではと思う程の強烈な暴風雨、初体験です。
うちの周りは、やや大きめの木が折れた他は、大きな被害はありませんでしたが、
隣の区では長い間停電、翌日の東京は、車も電車も一日乱れていました。
今年日本の国は、本厄のようです。。
澱、好きでしたか!日本人の中では珍しいかもですね。私は物に寄るかなぁ・・ワインヴィネガーは澱があるとうれしいです
毎年毎年、いろんなオイルが流行したけれど、何も加えない(精製しない)という自然のままのオイルで日持ちするというのはオリーブオイルだけなのでは。。。
(もしかしたら他にもあるかもですが。。)
そして澱があるのも仰る通り自然のものだから。
暴風雨、そんなにすごかったんですね、、自然災害は地震や豪雨かと思っていたけれど、風がこんなに被害をもたらすとは。。
怖いです。。
すごく綺麗な色!
ちなみに、うたこさんちでは、年間どのくらいオリーブオイルを消費されるのですか?
火を通すEXVオリーブオイルで2週間で1L、生で食べるもので月1L弱と考えて、出始めると1年分買ってしまいま~す。
貴重な情報 ありがとうございました!”目から鱗”です。知ると知らないのでは 大違いです。
行ったったことのないイタリアの食文化に触れ、楽しく思っています。😄